文学-日本文学
葉桜が つくれる蔭に 入らばやと (はざくらが つくれるかげに いらばやと) 山口誓子 〈意味〉 葉桜が作った影に入りたいなと思ったものだ。
君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ (きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ) 光孝天皇 〈現代語訳・口語訳〉 あなたのために春の野に出て若菜を摘んでいましたが、春だというのにちらちらと雪が降…
川端康成の生涯 幼少期と孤独の影響 川端康成は1899年、大阪府で生まれましたが、幼少期に両親を相次いで失い、さらに姉や祖父母も亡くなるという悲劇に見舞われました。この孤独な経験は、彼の文学作品における「喪失」や「郷愁」のテーマに深く影響を与え…
大正の日本文学 大正時代(1912年〜1926年)は、日本文学が多様化し、個人の感情や美的感覚が重視される時代でした。この時期の文学は、ロマン主義、耽美主義、プロレタリア文学など、さまざまな潮流が共存していました。 ロマン主義と耽美主義 大正時代の文…
『夢十夜』は夏目漱石が1908年に発表した短編集で、10篇の短い物語で構成されています。それぞれが独立した物語でありながら、共通して「夢」というテーマを軸に展開され、幻想的かつ哲学的な世界観を持っています。 文学的特徴 夏目漱石の『夢十夜』は、独…
糸桜 こや帰るさの 足もつれ (いとざくら こやかえるさの あしもつれ) 松尾芭蕉 〈意味〉 糸桜の花見に来て、さて帰ろうとすると糸桜の糸が足に絡まってよろけてしまった
高浜虚子(たかはま きょし)は、 明治から昭和にかけて活躍した日本の俳人であり小説家です。 基本情報 本名 高浜清(たかはま きよし) 生年月日 1874年2月22日 出身地 愛媛県松山市 没年月日 1959年4月8日(享年85歳) 職業 俳人、小説家 代表作 『虚子句…
なでしこが その花にもが 朝な朝な 手に取り持ちて 恋ひぬ日なけぬ 大伴家持 万葉集・第三巻・408 〈現代語訳・口語訳〉 あなたが撫子(なでしこ)の花だったらなあ。そうしたら毎朝、手に取って愛でるのに。 ※大伴家持が坂上大嬢(さかのうえのおおいら…
日野草城(ひの そうじょう、1901年7月18日 - 1956年1月29日)は、 大正から昭和にかけて活躍した日本の俳人です。本名は日野克修(よしのぶ)。彼の人生と俳句活動は、伝統と革新の間で揺れ動きながらも、新しい俳句の可能性を追求したものでした。 生い立…
青空に ひと枝咲きぬ 初ざくら 日野草城 〈意味〉 青空にひと枝だけ咲いている初桜よ
額田王(ぬかたのおおきみ)は、 飛鳥時代を代表する女性歌人であり、万葉集に多くの和歌を残した人物です。彼女の生涯や作品は、当時の日本の文化や政治、恋愛観を知る上で重要な手がかりとなっています。 生涯と背景 生没年 正確な生没年は不明ですが、631…
熟田津(にきたつ)に 船(ふな)乗りせむと 月(つき)待てば 潮(しお)もかなひぬ 今は漕(こ)ぎ出(い)でな 額田王 万葉集・巻一・6 〈現代語訳・口語訳〉 熟田津(にきたつ)で、船を出そうと月を待っていると、いよいよ潮の流れも良くなってきた。さあ、…
尾崎紅葉の『金色夜叉』は、明治時代の日本を代表する文学作品の一つで、1897年から1902年まで新聞に連載されました。未完の小説ではありますが、その独特なストーリーと描写で、現在も多くの人々に親しまれています。この作品は恋愛、裏切り、そして社会的…
尾崎紅葉(おざき こうよう)は、 明治時代を代表する日本の小説家で、擬古典主義文学の先駆者として知られています。 基本情報 本名 徳太郎 生年月日 1868年1月10日(慶応3年12月16日) 出身地 江戸芝中門前町(現在の東京都港区芝大門) 没年月日 1903年10…
山部赤人(やまべのあかひと)は、 奈良時代の宮廷歌人であり、『万葉集』の第三期を代表する重要な歌人の一人です。彼の生没年は不詳ですが、736年頃に亡くなったとされています。 人物像と背景 官位と身分 山部赤人は下級役人の身分でありながら、その優れ…
田子(たご)の浦ゆ うち出でて見れば 真白(ましろ)にぞ 富士の高嶺(たかね)に 雪は降りける 山部赤人 万葉集・第三巻・318 〈現代語訳〉 田子の浦を通って見渡しの良い所に出てみたら、真っ白な雪を抱いた 富士山が見えたのですよ。
おらが世や そこらの草も 餅になる 小林一茶 〈現代語訳〉 春ともなれば、そこら辺に生えている蓬(ヨモギ)の若草を摘んで、草餅にして食べよう。有難い世になったものだなぁ。
近江の海 夕波千鳥汝が鳴けば 心もしのに古思ほゆ(あふみのうみ ゆふなみちどりながなけば こころもしのに いにしへおもほゆ) 柿本人麻呂 (万葉集・266首目) 〈現代語訳・口語訳〉 近江の海(琵琶湖)の夕方にたつ波の上を飛ぶ千鳥たちよ、お前が鳴く…
『万葉集』は、 日本最古の歌集であり、約4500首もの和歌が収められています。奈良時代に編纂されたとされ、その編集には大伴家持が深く関わったと考えられています。この歌集は、日本文学史上の宝であり、当時の人々の暮らしや思想、文化を知る手がかりとな…
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」は、 彼が生涯を通じて書き続けた未完の作品で、日本文学の中でも特に深い哲学的・象徴的な意味を持つ傑作です。この物語は、主人公ジョバンニとその友人カムパネルラが銀河鉄道に乗り、銀河を旅する幻想的な物語を描いています。…
樋口一葉(ひぐちいちよう)は、 明治時代を代表する日本の女流作家であり、短い生涯の中で数々の名作を生み出しました。以下に彼女のプロフィールを詳しくご紹介します。 本名: 樋口奈津(ひぐちなつ) 生年月日: 1872年5月2日 没年月日: 1896年11月23日(…
江戸時代の三大俳人 松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶は、 江戸時代を代表する三大俳人として知られています。それぞれが俳句の発展に大きく貢献し、独自の作風を確立しましたが、時代背景や個性が異なるため、俳句の表現やテーマにも違いがあります。 松尾芭蕉…
小林一茶(こばやし いっさ)は、 江戸時代後期を代表する俳人の一人で、松尾芭蕉や与謝蕪村と並び称される存在です。彼の俳句は庶民的で親しみやすい「一茶調」と呼ばれる独特の作風で知られています。 本名 小林弥太郎(こばやし やたろう) 生年月日 1763…
松尾芭蕉(まつお ばしょう)は、江戸時代前期を代表する俳諧師であり、日本文学史上でも特に重要な人物です。彼の生涯と業績を以下に詳しくご紹介します。 生涯 生誕 1644年(寛永21年)、伊賀国(現在の三重県伊賀市)に生まれました。本名は松尾宗房(む…
明けぼのやしら魚しろきこと一寸 松尾芭蕉
与謝蕪村(よさぶそん)は、 江戸時代中期の俳人であり画家としても知られる多才な人物です。1716年に摂津国東成郡毛馬村(現在の大阪府大阪市都島区)で生まれ、1784年に京都で亡くなりました。 彼は俳句と絵画を融合させた「俳画」の創始者としても有名で…
ほととぎす平安城を筋かいに 与謝蕪村
二葉亭四迷(ふたばてい しめい)は、 日本近代文学の先駆者であり、言文一致体を用いた小説『浮雲』で知られる作家です。本名は長谷川辰之助で、1864年に江戸市ヶ谷で生まれました。彼はロシア文学の翻訳家としても活躍し、ツルゲーネフの作品を日本に紹介…
明治時代の文学は、日本が近代化を進める中で大きな変革を遂げた時期でした。 〈言文一致運動〉書き言葉と話し言葉を一致させることで、より自然で親しみやすい文章がうまれました。 〈写実主義〉 現実をありのままに描くことを重視した文学潮流で、坪内逍遥…
夏目漱石と正岡子規は、明治時代を代表する文学者であり、生涯の親友でした。 二人は東大予備門(現在の東京大学の前身)で出会い、落語好きという共通点をきっかけに親しくなりました。 漱石の「漱石」という号は、実は子規がかつて使っていたペンネームの…