野島春樹の沈思黙考

心に移ろいゆくよしなしごと

湯原王(ゆはらのおおきみ) 万葉集 雑歌

吉野なる 菜摘の川の 川淀に 鴨ぞ鳴くなる 山蔭にして

(よしのなる なつみのかわの かわよどに かもぞなくなる やまかげにして)

                          湯原王(ゆはらのおおきみ)

〈現代語訳・口語訳〉

吉野にある夏実の川の川淀には鴨が鳴いているようだ。山の陰で。

 

湯原王

(生没年不詳)

奈良時代の皇族・歌人天智天皇の孫で、二品・志貴皇子(しきのみこ)の子。無官位か。叙位・任官の記録がなく政治面での足跡は残っていない。一方で、『万葉集』に天平年間初期(730年頃以降)に詠まれたと想定される和歌作品が19首採録されており、万葉後期の代表的な歌人の一人となっている。勅撰歌人として『拾遺和歌集』以下の勅撰和歌集にも4首が採られている。

没後の宝亀元年(770年)に兄弟の白壁王が即位(光仁天皇)し、志貴皇子の子女を親王内親王として扱うこととしたため、湯原親王とも記される。

 

※夏実の川

菜摘(奈良県吉野郡吉野町を中心とした一帯の地、歌中では、み吉野ともいう)付近を流れる吉野川

 

吉野川