野島春樹の沈思黙考

心に移ろいゆくよしなしごと

パット・メセニー

パット・メセニーの生涯

 

幼少期と音楽の始まり

 

パット・メセニーPat Metheny)は、1954年8月12日にアメリカ合衆国ミズーリ州リーズ・サミットで生まれました。幼少期から音楽に親しみ、最初はトランペットを演奏していましたが、10歳のときにビートルズの影響を受けてギターに興味を持ちました。11歳でマイルス・デイヴィスウェス・モンゴメリーに夢中になり、12歳の誕生日にギブソンES-140(小型のフルアコースティックギター)を手に入れました。

 

キャリアの始まり

 

15歳のとき、ジャズ専門誌『ダウンビート』主催のジャズ合宿に参加し、高く評価されました。18歳でバークリー音楽大学の講師となり、若くして音楽教育にも携わるようになります。1974年にはゲイリー・バートンのアルバム『リング』でレコーディング・デビューを果たしました。

 

ソロ活動とパット・メセニー・グループ

 

1976年、ジャコ・パストリアスを迎えた初のリーダー作『Bright Size Life』をECMレーベルから発表し、ソロ・キャリアをスタートさせました。1978年にはキーボード奏者ライル・メイズらとパット・メセニー・グループを結成し、アルバム『Pat Metheny Group』をリリースしました。

このグループは、ジャズとフュージョンの境界を押し広げる革新的なサウンドを生み出し、1980年代には『Offramp』(1981年)、『First Circle』(1984年)、『Still Life (Talking)』(1987年)などの名作を発表しました。特にブラジル音楽の要素を取り入れた『Still Life (Talking)』は、彼の音楽的探求の幅広さを示しています。

 

革新と実験的プロジェクト

 

1990年代以降もメセニーは多様な音楽スタイルを探求し続けました。1986年にはオーネット・コールマンとの共作『Song X』を発表し、フリー・ジャズの領域にも踏み込みました。2000年代には「オーケストリオン・プロジェクト」を開始し、機械仕掛けの楽器を遠隔操作するシステムを用いた演奏を行いました。

 

受賞歴と影響

 

メセニーはグラミー賞を12部門で合計20回受賞し、ジャズ・ギタリストとしては異例の成功を収めました。2013年にはジャズ専門誌『ダウンビート』の殿堂入りを果たし、バークリー音楽大学の名誉音楽博士号も取得しています。

 

現在と遺産

 

メセニーは現在も活動を続けており、ソロやコラボレーションを通じて新たな音楽を生み出しています。彼の音楽は、ジャズのみならず、クラシックやワールドミュージックにも影響を与え、多くのギタリストにとってインスピレーションの源となっています。

 

パット・メセニーの音楽と影響

 

音楽スタイルと特徴

パット・メセニーは、ジャズ・ギターの表現を拡張し、フュージョン、モーダル・ジャズ、ラテンジャズなど多様なジャンルに影響を与えました。彼の音楽スタイルには以下のような特徴があります。

 

  • モーダル・ジャズの探求 コード進行に縛られず、モード(音階)を基盤とした自由な即興演奏を展開。
  • 独特のギター奏法 ピックの持ち方やレガート奏法を駆使し、滑らかで流れるようなフレーズを生み出す。
  • ブラジル音楽の影響 ミルトン・ナシメントトニーニョ・オルタとの交流を通じて、ブラジル音楽の要素を取り入れた作品を多数発表。
  • オーケストリオン・プロジェクト 機械仕掛けの楽器を遠隔操作するシステムを用いた演奏を行い、音楽の新たな可能性を探求。

 

代表的なアルバム

 

メセニーのキャリアを象徴するアルバムには以下のような作品があります。

 

  • Bright Size Life (1976) ジャコ・パストリアスとの共演によるデビュー作。ジャズ・ギターの新たな可能性を示した作品。
  • Offramp (1981) シンセギターを導入し、フュージョンの新境地を開拓。
  • Still Life (Talking) (1987) ブラジル音楽の影響を強く受けたアルバムで、ジャズとワールドミュージックの融合を実現。
  • Secret Story (1992) オーケストラを取り入れた壮大な作品で、メセニーの作曲能力の高さを示す。
  • Orchestrion (2010) 機械仕掛けの楽器を用いた実験的なプロジェクト。

 

音楽界への影響

 

メセニーは、ジャズ・ギターの表現を拡張し、多くのミュージシャンに影響を与えました。彼の音楽は、ジャズのみならず、ロック、クラシック、ワールドミュージックにも影響を与えています。特に、彼の滑らかなフレージングやハーモニーの探求は、現代のギタリストにとって重要な指標となっています。

 

パット・メセニーの代表曲

 

代表曲とその特徴

 

メセニーの楽曲は、ジャズ・ギターの革新を示すものが多く、フュージョン、モーダル・ジャズ、ラテンジャズなど多様なジャンルにまたがっています。以下に、特に評価の高い代表曲を紹介します。

 

1. Bright Size Life (1976)

 

  • メセニーのデビューアルバム『Bright Size Life』に収録。
  • ジャコ・パストリアスとの共演による楽曲で、ジャズ・ギターの新たな可能性を示した作品。
  • 流麗なギターラインと独特のハーモニーが特徴。

 

2. Last Train Home (1987)

 

 

3. Are You Going with Me? (1982)

 

  • アルバム『Offramp』に収録。
  • シンセギターを駆使した幻想的なサウンドが特徴。
  • ライブ演奏でも定番の楽曲で、メセニーの音楽的探求を象徴する一曲。

 

4. Cinema Paradiso (1999)

 

 

5. Minuano (Six Eight) (1987)

 

  • アルバム『Still Life (Talking)』に収録。
  • ブラジル音楽の影響を強く受けた楽曲で、複雑なリズムと壮大な展開が特徴。
  • メセニーの作曲能力の高さを示す代表作。

 

音楽的影響

 

メセニーの楽曲は、ジャズのみならず、ロック、クラシック、ワールドミュージックにも影響を与えています。特に、彼の滑らかなフレージングやハーモニーの探求は、現代のギタリストにとって重要な指標となっています。

 

パット・メセニーの生きた時代

 

1950年代〜1970年代 ジャズの変革期とメセニーの登場

 

1950年代は、ビバップからハードバップ、モーダル・ジャズへの移行が進んだ時代でした。マイルス・デイヴィスジョン・コルトレーンが新たなジャズの方向性を示し、ウェス・モンゴメリーのようなギタリストがジャズ・ギターの可能性を広げました。

メセニーはこの時代に生まれ、幼少期からジャズに親しみました。1970年代に入ると、ジャズ・フュージョンが台頭し、エレクトリック楽器の導入が進みました。メセニーはこの流れの中で、1976年に『Bright Size Life』を発表し、ジャズ・ギターの新たなスタイルを確立しました。

 

1980年代 フュージョンの成熟とブラジル音楽の影響

 

1980年代は、ジャズ・フュージョンが成熟し、シンセサイザーや電子楽器が広く使われるようになりました。メセニーはこの時代に『Offramp』(1981年)や『Still Life (Talking)』(1987年)を発表し、ブラジル音楽の要素を取り入れた独自のサウンドを確立しました。

この時期、彼はミルトン・ナシメントトニーニョ・オルタと交流し、ブラジル音楽の影響を受けた作品を多数発表しました。ジャズの枠を超えた音楽的探求が、彼のスタイルをさらに進化させました。

 

1990年代〜2000年代 実験的アプローチとオーケストリオン

 

1990年代に入ると、メセニーはさらに実験的なアプローチを取るようになります。1992年の『Secret Story』ではオーケストラを取り入れ、壮大な音楽世界を構築しました。また、2000年代には「オーケストリオン・プロジェクト」を開始し、機械仕掛けの楽器を遠隔操作するシステムを用いた演奏を行いました。

この時代は、ジャズが多様化し、デジタル技術の進化によって音楽制作の幅が広がった時期でもあります。メセニーはその流れの中で、伝統的なジャズと革新的な技術を融合させる試みを続けました。

 

2010年代〜現在 ジャズの継続的な進化

 

2010年代以降もメセニーは活動を続け、ソロやコラボレーションを通じて新たな音楽を生み出しています。彼の音楽は、ジャズのみならず、クラシックやワールドミュージックにも影響を与え、多くのギタリストにとってインスピレーションの源となっています。

彼の生きた時代は、ジャズの変革と進化の歴史そのものであり、彼自身がその流れを牽引する存在でした。

 

パット・メセニーに関する書籍

 

  • タイトル: 『パット・メセニーを聴け!』
  • 著者: 堀埜浩二
  • 出版社: ブリコルール・パブリッシング
  • 出版年: 2018年3月7日

 

パット・メセニー