『A列車で行こう』 デューク・エリントン楽団
『A列車で行こう』(Take the "A" Train)は、デューク・エリントン楽団の代表曲であり、ジャズ史において極めて重要な楽曲です。1939年にエリントンの右腕であったビリー・ストレイホーンが作曲し、1941年にエリントン楽団によって録音されました。
この曲のタイトルは、ニューヨーク市地下鉄のA系統(8番街急行)を指し、ハーレムへ向かう最速のルートを象徴しています。歌詞には「シュガーヒルへ行くならA列車に乗れ」とあり、シュガーヒルはハーレムの高級住宅街であり、当時の黒人文化の中心地の一つでした。
エリントン楽団はこの曲をテーマ曲として採用し、エラ・フィッツジェラルドとの共演などを通じて広く知られるようになりました。特に、エリントンのピアノと楽団の洗練されたアレンジが際立ち、スウィング・ジャズの代表的な楽曲として定着しました。
日本でもこの曲は広く親しまれ、美空ひばりによる日本語カバーや映画『スウィングガールズ』での演奏など、多くの場面で取り上げられています。また、JR九州の観光特急「A列車で行こう」の車内BGMとしても使用されるなど、鉄道文化とも結びついています。
曲調と聞きどころ
曲調
この楽曲はミディアム・スウィングのスタイルで、軽快なリズムと洗練されたアレンジが特徴です。スウィング・ジャズの典型的な構造を持ち、跳ねるようなリズムが列車の疾走感を表現しています。特に、4ビートのグルーヴが心地よく、演奏者によって微妙なニュアンスが加えられることで、異なる解釈が楽しめます。
聞きどころ
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イントロのピアノリフ
- ビリー・ストレイホーンの作曲によるイントロは、シンプルながらも印象的なフレーズで、曲全体の雰囲気を決定づけています。
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ホーンセクションのアンサンブル
- エリントン楽団ならではの分厚いホーンセクションが、スウィング感を強調し、列車の疾走感を演出しています。
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ソロ演奏
- トランペットやサックスのソロが随所に挿入され、演奏者によって異なる解釈が楽しめます。特に、レイ・ナンスのトランペットソロは名演として知られています。
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リズムセクションの躍動感
- ベースとドラムがしっかりとしたグルーヴを作り出し、スウィングの心地よさを最大限に引き出しています。
