野島春樹の沈思黙考

心に移ろいゆくよしなしごと

『幻想即興曲』 ショパン

『幻想即興曲』 ショパン

 

『幻想即興曲』(Fantaisie-Impromptu)は、ショパン1834年に作曲したピアノ独奏曲であり、彼の死後1855年に友人のユリアン・フォンタナによって出版されました。ショパン自身は生前にこの曲を公開しなかったため、遺作として知られています。

 

曲の構成と特徴

 

この曲は複合三部形式(A-B-A')で構成されており、以下のような特徴があります。

 

  1. A部分(嬰ハ短調

    • 「Allegro agitato」の指示のもと、右手の16分音符と左手の3連符が交錯するポリリズムが特徴的です。
    • 嵐のような激しい旋律が展開され、ショパンの即興的な要素が際立っています。
  2. B部分(変ニ長調

    • 「Più lento - cantabile」と指示され、穏やかで歌うような旋律が登場します。
    • ショパンらしい叙情的なフレーズが際立ち、まるで夢の中にいるような幻想的な雰囲気を醸し出します。
  3. A'部分(嬰ハ短調

    • A部分が再現され、曲の冒頭の激しさが戻ります。
    • 最後のコーダでは、B部分の旋律が左手で回想され、静かに終曲します。

 

作曲の背景

 

ショパンはこの曲をエステ公爵夫人に献呈しましたが、生前には出版しませんでした。その理由として、イグナーツ・モシェレスの作品に似ていることや、ベートーヴェンの「月光ソナタ」との類似性を気にしていた可能性が指摘されています。

 

演奏のポイント

 

  • ポリリズムの処理 右手と左手のリズムが異なるため、正確なタイミングで演奏することが重要です。
  • 中間部の表現 B部分では、ショパンの歌うような旋律を美しく響かせることが求められます。
  • ダイナミクスの変化 A部分の激しさとB部分の穏やかさの対比を明確にすることで、曲のドラマ性が際立ちます。

 

楽譜の版

 

この作品には複数の版が存在します。ショパンの弟子であるエステ公爵夫人に献呈された1835年の自筆譜が1962年にアルトゥール・ルービンシュタインによって発見されました。この自筆譜は、フォンタナ版とは異なる部分が多く、より後に書かれたものと考えられています。

 

世界初録音

 

 

曲調と聞きどころ

 

『幻想即興曲』は、ショパンの作品の中でも特にドラマティックな構成を持つ楽曲であり、ポリリズム対照的な楽章が特徴です。以下に、曲調と聞きどころをさらに詳しく解説します。

 

曲調の特徴

 

この曲は複合三部形式(A-B-A')で構成されており、各部分で異なる雰囲気を持っています。

 

  1. A部分(嬰ハ短調激情的で嵐のような展開

    • 「Allegro agitato」の指示のもと、右手の16分音符と左手の3連符が交錯するポリリズムが特徴的です。
    • 嵐のような激しい旋律が展開され、ショパンの即興的な要素が際立っています。
    • 右手の急速なパッセージと左手の流れるようなアルペジオが、緊張感と疾走感を生み出します。
  2. B部分(変ニ長調穏やかで夢のような旋律

    • 「Più lento - cantabile」と指示され、穏やかで歌うような旋律が登場します。
    • ショパンらしい叙情的なフレーズが際立ち、まるで夢の中にいるような幻想的な雰囲気を醸し出します。
    • 左手のアルペジオが優雅に流れ、右手の旋律が語りかけるような表現を持っています。
  3. A'部分(嬰ハ短調再び激情へ

    • A部分が再現され、曲の冒頭の激しさが戻ります。
    • 最後のコーダでは、B部分の旋律が左手で回想され、静かに終曲します。

 

聞きどころ

 

  • 冒頭の嵐のような展開 右手の16分音符と左手の3連符のポリリズムが、ショパンの革新的な作曲技法を示しています。
  • 中間部の美しい旋律 B部分では、ショパンの歌うような旋律が際立ち、感情の深みを感じることができます。
  • 終盤の劇的な再現 A部分が再び登場し、曲のドラマ性を強調します。最後のコーダでは、B部分の旋律が左手で回想され、静かに終曲します。