野島春樹の沈思黙考

心に移ろいゆくよしなしごと

『St. Louis Blues』 ルイ・アームストロング

『St.Louis Blues』 ルイ・アームストロング

 

ルイ・アームストロングの『St. Louis Blues』は、ジャズとブルースの融合を象徴する名演の一つです。彼はこの曲を何度も録音しており、特に1929年の録音と1954年のアルバム『Louis Armstrong Plays W.C. Handy』に収録されたバージョンが有名です。

 

1929年の録音

 

この録音は、アームストロングの初期のスタイルを反映しており、彼のトランペットの力強い演奏とスウィング感が際立っています。特に、彼の即興演奏の技術が光る部分が多く、ブルースの哀愁を表現しながらも、ジャズの躍動感を加えています。この録音は2008年にグラミー賞の殿堂入りを果たしました。

 

1954年の録音

 

このバージョンでは、アームストロングのバンド「All Stars」と共に演奏され、彼の円熟したトランペットとヴォーカルが際立っています。特に、Velma Middletonとの掛け合いが特徴的で、ブルースの悲しみを表現しながらも、アームストロング特有の陽気なスタイルが際立っています。

 

『St. Louis Blues』の影響

 

この曲は、ジャズのスタンダードとして多くのミュージシャンに影響を与えました。例えば、グレン・ミラーボストン・ポップス・オーケストラなどもこの曲を演奏しており、ブルースがポップスにカバーされて成功した初の例としても知られています。

また、ジョージ・ガーシュウィンの『Summertime』との類似性が指摘されることもあり、ブルースの伝統がジャズやポップスに影響を与えたことを示しています。

 

曲調と聞きどころ

 

『St. Louis Blues』は、ブルースとジャズの融合を象徴する楽曲であり、その構成や演奏スタイルには多くの興味深い要素があります。

 

曲の構成と特徴

 

この曲は、通常のブルース進行とは異なり、3部構成で展開される点が特徴的です。

 

  1. イントロとAメロ(ブルース進行)

    • 伝統的な12小節のブルース進行を基にしており、哀愁漂うメロディが特徴です。
    • ルイ・アームストロングの演奏では、トランペットのブルージーなフレーズが際立ち、深みのある音色がブルースの悲しみを表現しています。
    • 1929年の録音では、アームストロングのトランペットが特に力強く、ブルースの哀愁を際立たせています。
  2. Bメロ(16小節のインタールード)

    • ここで曲調が一変し、ラテンやタンゴのリズムが取り入れられています。
    • この部分は、ブルースの枠を超えたユニークな要素であり、ジャズの多様性を示しています。
    • 1954年の録音では、Velma Middletonとの掛け合いがユーモラスで、ブルースの哀愁とジャズの軽快さが絶妙に融合しています。
  3. Cメロ(アップテンポのジャズセクション)

    • 最後のパートでは、スウィング感のあるジャズの要素が強まり、曲全体のダイナミズムを高めています。
    • アームストロングの演奏では、トランペットの即興ソロが炸裂し、彼の卓越した技術と表現力が存分に発揮されています。

 

聞きどころ

 

  • イントロのトランペット アームストロングの演奏では、冒頭からブルースの哀愁を感じさせるフレーズが印象的です。
  • Bメロのリズム変化 タンゴ風のリズムが加わることで、曲の雰囲気が一気に変わり、ジャズの多様性を楽しめます。
  • 終盤のスウィング感 アームストロングのトランペットソロは圧巻で、ジャズの躍動感を存分に味わえます。

 

歴史的背景と影響

 

『St. Louis Blues』は、W.C. Handyによって1914年に作曲されました。彼は「ブルースの父」とも呼ばれ、この曲はブルースの伝統を確立した作品の一つです。
この曲は、ジャズのスタンダードとして多くのミュージシャンに影響を与えました。例えば、グレン・ミラーボストン・ポップス・オーケストラなどもこの曲を演奏しており、ブルースがポップスにカバーされて成功した初の例としても知られています。

また、ジョージ・ガーシュウィンの『Summertime』との類似性が指摘されることもあり、ブルースの伝統がジャズやポップスに影響を与えたことを示しています。